2023年8月30日(水) 裁判傍聴体験の報告

東京地方裁判所

9時半に裁判所に到着し、ます玄関で手荷物検査と金属探知機で危険物があるかないかの検査を受けました。空港の検査と同じです。

まず、弁護士の揚野先生に挨拶して本日の流れを説明してもらいました。
事前に揚野先生から小学生・中学生にわかり易い事件として薬物事件を選んでもらいました。
薬物事件は、学校でも座学で学習している内容です。実際に薬物を使ってしまった人がどう裁かれていくのか。
今回は人数が多かったため2つの班に分かれて、傍聴しました。
私(加藤)の班は、若い男性が大麻を吸って起訴された事件でした。

起訴状の朗読から、弁護人の反論、証人尋問、本人尋問がありました。
被告人も起訴事実を認めていることから、判決まで出ました。(1回の裁判で、判決までいくのはめずらしい)
刑事事件の全ての過程を見学できたのは良かったです。

ここまでは、普通の傍聴見学です。当塾の裁判傍聴の特色は、この後にあります。
判決が出れば、閉会になり終了です。しかし、担当裁判官が私たちに向かって「今の裁判について質問ありますか?」と問いかけてきたのです。せっかく質問ありませんかと聞いてきたので、生徒に「質問してください。」と言いました。

しかし、みんな遠慮して誰も質問しませんでした。そのため、裁判官に申し訳ないので私が質問しました。

質問者:どうして、被告人に対して執行猶予5年の判決を出したのですか?
裁判官:被告人が初犯で反省していた。そして、被告人の姉が証人として出頭して「弟の面倒をみて、二度と大麻などをやらせないようにします」と誓ったので、その言葉を信じました。そのため、被告人を刑務所に収監させるよりも執行猶予にしたほうがいいと思いました。そして、執行猶予3年にしたのは、1年では短すぎるし、5年では長すぎると思い、真ん中をとって3年にしました。

裁判官の胸の内を説明してくれました。それから、犯罪件数など日本の状況を説明してくれました。
最後の裁判官は私たちに次の言葉をかけてくれました。

裁判官:今日本の司法制度で裁判員制度があります。裁判員とは、18歳以上の国民から選ばれた人が裁判官と一緒に裁判し判決する人たちです。君たち(児童・生徒)も将来18歳になったら、私たちと一緒に仕事をするかもしれません。その時を楽しみにしています。勉強など頑張ってください。

私たちに激励の言葉をかけてくれました。
お昼は、農林水産省の職員食堂で食べました。ランチメニューに食材の自給率が書いてありました。

午後の裁判傍聴は裁判員裁判をしました。
この事件は外国人が被告人で通訳人が通訳しながら裁判が進められていました。
外国人が覚せい剤を密輸した事件でした。事実関係の確認のやり取りが続いていました。
1時間見学し、証人待合室に行きました。そこで、今日の裁判傍聴の振り返りと揚野弁護士に仕事について質疑応答をしました。

学校と違うので、たとえへんな質問しても成績に関係ないので大丈夫です。
そのため、安心していろいろな質問がでました。
事前に考えたことの質問もあったので、さすがと思いました。

児童:仕事のやりがいは、何ですか?
揚野弁護士:感謝されて、ありがとうございます。とお客さんから言われたときです。

これは、どんな仕事でも同じですね。
8年前から、毎年の夏に実施している裁判傍聴です。
最近は、中学生・高校生の見学・親子連れなどが増えてきた印象があります。
裁判員制度をより国民に知ってもらうために、裁判所はいろいろ宣伝しています。
その効果が出てきたのかもしれません。

とても有意義な傍聴見学の一日でした。